鹿のいほり

漫画の感想など

小林有吾「アオアシ」10巻 感想 武蔵野戦~前半終了まで~

ついに10巻...

武蔵野戦までひと悶着あった分、いろんなキャラに思い入れができて10巻が爆発的に面白くなっており、アオアシの数え切れない魅力が凝縮されてます。

 

 

 以下ネタバレ注意

 

アオアシ 10 (ビッグコミックス)

アオアシ 10 (ビッグコミックス)

 

 ↓9巻感想

mominokirin.hatenablog.com

 

 

武蔵野のハイプレスサッカーにロングパスを繋ぐダイレクトプレーサッカーで対抗するエスペリオン。こちらが優れている個人技術を活かした作戦で試合は一時エスペリオンのペースになりますが…武蔵野、まんじりとも焦りを見せません。

武蔵野全体が焦らず普段通りプレーできるようコントロールしていたのがキャプテンの武藤千秋という男で、その役割は「司令塔」

アシトも司令塔としての片鱗を見せつつありますが、まだまだ発展途上でチームメイトからの絶対的信頼は得られていない状態...

武蔵野の佐竹監督曰く、この「選手をまとめ上げる司令塔」をはじめ、迷いのないハイプレス、一枚岩のメンバー達、絶対的ストライカー(金田)、これら武蔵野が持っている全てが今のエスペリオンにはないものだと言う。

隙はないわ捨て身のサッカーしてくるわで、今のところ個人技が上回るだけのエスペリオンには攻略が厳しそうだ…。

 

 

そして打倒エスペリオン(特にセレクション組)と燃えていた金田ですが...その気持ちが強気すぎるプレーに現れてました。

ボールへの反応やゴールへの嗅覚が尋常ではなく、ちょっと油断していると0度からであろうとガンガンシュートを打ってくる。

加えて体幹やボディーバランスが良いお陰でゴールまで猛進してもDFを跳ね除ける勢い。

そんな攻めまくり金田にパスミスからシュートチャンスを奪われてしまった黒田がミスを取り返そうと自らマッチアップします。

やっぱりジュニアユースで鍛えらてきただけあって黒田は抜群に上手い。…んですが、個人技は金田よりも明らかに勝っているのに、詰めの甘さというか9巻にあった「勝つためのサッカー」ではなく「プロになるためのサッカー」をしているのが目立ちました。

黒田の逃げの姿勢や一瞬の気の緩みによって、ゴールへの執念がより強かった武蔵野の金田-武藤ラインに1点目を先取されます。

巧みなテクニックや瞬足を持ち合わせていても、武蔵野のようにリスクを冒してハイプレスサッカーを貫き「勝つ」ことを目標にしてきたチームを前にすればこうして僅かな隙を突かれてしまう。

これまた冨樫に「ケッこれだからアカデミー育ちは…」と言われそうな…

 

 

焦りが出始める中ついに…1点先制されたエスペリオンを盛り返してくれるのが…スランプ真っ只中の生真面目FW橘総一朗

望コーチが自分を試合で使ってくれたことに対する感謝と期待に応えたいという気持ちが湧き上がり、「誰でも」良いから点を取ってくれ…から「俺が」決める!に切り替わり完全に火がつきます。

FWの鬼のような表情で点を取ることに集中する橘に、何とかして点を取らせてやりたい、殻を破らせたいと必死にプレーするアシト・大友。

そんな思いを受け取りシュートを放つ瞬間、

―ひとつ思い出したことがある...

という橘のモノローグが入ります。

今まで自分は義経さんや金田のような優れたFWを見て落ち込むばかりだったが、ただひとりアシトに対しては違った。

アシトの困難に立ち向かう姿に勇気をもらっていた...。

ゴール直前の

俺が初めて憧れた選手は、お前だよ。アシト。

これがもう最高にアツい...

 

ゴール直後すかさず橘に覆いかぶさるチームメイト、無言で親指を立てる望コーチ、喜ぶというよりほっとした表情のアシト...そして何より橘の自分のゴールが信じられない感極まった表情に、ああようやく…とひたすら感動と興奮でした。

 

 

そしてここまでの試合を見て佐竹監督はアシトをエスペリオンのMVPだと評価します。

試合中アシトが味方にコーチングをすることで周りを使ったプレーを生み出し、こういった点から視野が広く周りが良く見えていることを見抜いていました。

見てる人は見てるんですね。

そこでマズイと思ったのか復活した橘に気圧され気味な武蔵野の雰囲気を変えるべく、佐竹監督が動きます。

GKひとりを残しほかの10人をすべて前に押し上げてハイプレスに来る人数を増やすという、ちょっとリスク冒しすぎでは…?と思うくらい際どい作戦に変更。

後ろがガラ空きなのに何度もオフサイドを取られて攻めあぐね、2点目を奪われ…さらに今のエスペリオンにとって最大の弱点を突かれ止めの追加点を許した…のか?

という所で終わりました。

 

 

 

 10巻は色んなキャラにスポットが当たってましたが…やはり1番グッときたのは橘の雄叫びが聞けたことです。

真面目さ故に悩んで、苦しんで、FWとしてのアイデンティティーを見失いそうな中、なんとアシトにポジション変更というサッカーを続けるか辞めるかくらいのショッキングな出来事が起こってしまった。

 

自分より困難な状況に陥る友人が不慣れなサイドバックの動きを必死に身に付けようとする姿に、点を取れず落ち込むばかりの自分と比較してさぞ眩しく見えたことだろう。

それと同時にどうして自分はアシトのようにできないのかという葛藤もあって、そういう感情が8巻の「どうやったらお前みたいになれる?」という台詞のきっかけになったのかな…

アシトのド根性は中々真似できるものではないが、チームメイトでありライバルである身近な友人をすごい奴、憧れだと素直に認められるのも橘にしか出来ないことなんだぞと誰か彼に伝えて欲しい…。

 

 

最後の弱点というのはサイドバックの冨樫と竹島の因縁の2人で、ここの連携が取れていないことを金田に見抜かれます。

その事実を武藤に耳打ちしてるのがフリーキックの時なのでかなり序盤に気づいたらしく、こういう所でも金田の勝利に対する意志の強さが伺える。

佐竹監督の言うエスペリオンにまだ存在する付け入るべき穴というのも2人のことかな?

冨樫と竹島の連携が取れるようになれば金田のシュートの怖さも減るし、Bチーム全体の雰囲気が良い方向に変わると思うんですが…色々と丸くなった竹島はまだしも小学生からジュニア組を目の敵にしてきた冨樫は和解する姿が全く想像できない…

ロッカールームから始まるであろう10巻が今から待ち遠しいです。

 

 

今回は初めて1巻丸々試合という贅沢な巻だったので満足感が半端なく、試合が終わったらエスペリオンにとってどれだけの変化と成長があるのか楽しみです。

 

 

こんなに面白い漫画だし…ストックも十分あるので…そろそろキャラが喋って動くところが見たいなあ…

帯にアニメ化決定の文字が踊ることを心待ちにしてます。

 

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

 
水の森(1) (KCデラックス 月刊少年マガジン)

水の森(1) (KCデラックス 月刊少年マガジン)

 

河原和音「素敵な彼氏」4巻 感想 作中は真冬だが内容は常夏

この頃深刻な少女漫画摂取不足でカラカラに干からびていたところ、この素敵な彼氏4巻を読んですっかり水を得た魚状態です...。

 

以下ネタバレ注意

 

 ↓3巻感想

mominokirin.hatenablog.com

 

今回は10回くらい「好き」というワードが出てきて10回くらいチューをし、もう訳が分からないよ…というくらいメイン2人がイチャイチャしてました。

前回の流れからののかが桐山くんへの気持ちに蓋をして奨平と長年の夢だった年末のカウントダウンイルミへ行くかと思いきや、ジェントルメンな奨平くんがののかの背中を押し、「好きな人(桐山くん)と2人で年末にカウントダウンイルミを見る」という夢が遂に叶いました。

2人が付き合うようになって判明したことは、実は桐山くんがとんでもないキス魔だということ…。

加えてふとした瞬間にののかの髪や頬を触ってきたり、サラっとした性格なのに意外にもスキンシップ過多だということ…。

こういう女子の扱いを熟知している感じ、ののかの言う通り彼はやはりプロだ。桐山プロだ。

奨平もののかと別れて早々後輩の女子、深空といい感じになり別れたあとの罪悪感もなくみんな幸せ…と思われた矢先、新学期を迎えて登校したののか&桐山、奨平&深空を目にした同級生の「あれ?なんで相手変わってんの?」はズシンときますね。

悪気は微塵もないが同級生達からすれば冬休み中に何がどうなったんだって思うだろうし、宿研で奨平におんぶされてるののかの記憶が新しいでしょうからね。

この件で一瞬微妙な空気になる奨平と深空の様子を心配するののかを見て「奨平の方がいいのかなと思って」とか、「小桜さんの気持ちも変わるかもしれないし」と疑念を抱く桐山プロ…

偽装とはいえ奨平と形的には付き合っていたことをやっぱり気にしてた、若しくは現在進行形で気にしてるのかも。

ののかは初めての彼氏で完全に浮かれてますが、対していつも通りサラサラな桐山くんを見て付き合うという意識の差、気持ちの重さの違いがあるのでは…と感じ始めてちょっとモヤっとした空気で終わりました。

最後こそ暗雲が立ち込めてましたが、4巻は彼氏ができたののかがものすごく幸せそうで素直に応援したくなる...というか自ずと応援してしまうので終始菩薩のような表情で読んでました。

今や中学、下手したら小学生で彼氏彼女がいる子も珍しくない中、初めての彼氏でこんなにハッピーが充満しているJKは河原先生作品の女子以外に知りません。

河原先生は女子にとって気になる男子が「彼氏」という特別な存在になる瞬間をとても大事にされてるなあと思います。

 

この漫画はののかに素敵な彼氏が出来るまでとそれからのことが描かれる一方で、何となく恋愛をしてきた桐山くんの恋愛観が変わっていく話でもあると思うんですよね。

前回までの話にある彼の「映画みたいなテンションで好きとか言ったことは1回もないなあ」という台詞にもそれが表れていて、桐山くん自身も「そうなってみたい」とののかに直接宣言している...。

これって桐山くんなりの、ののかへの最高のアプローチなんだろうな。

今回付き合うことになってデート中に改めて彼の口からその事が言及されそうになったんですが、邪魔が入ったので…これからは桐山くんの余裕な振る舞い以外も見られるのかなあと楽しみです。

取りあえずエリハの

「ここがゴールだと思うな。大変なのはこれからだ」

という言葉を噛み締めて5巻を待ちつつ夏を乗り切ろう…。

 

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梶本レイカ「悪魔を憐れむ歌」感想 息切れしながら読みました

コオリオニに続き今回も道警が舞台。

梶本先生作品の影響で私の中の北海道のイメージがとんでもないことに…。

未だコオリオニの衝撃から抜け出せていない自分にとってはなんだか鬼戸や八敷がひょっこり登場するんじゃないかと思わずにはいられませんでした。

今作も読むとなかなか日常に戻ってこられない強烈な漫画です。

 

 

以下ネタバレ注意

悪魔を憐れむ歌 1巻 (バンチコミックス)

悪魔を憐れむ歌 1巻 (バンチコミックス)

 

 北海道警の刑事・阿久津亮平は8年前に起こった「箱折連続殺人事件」を追っていた。周囲の呆れ顔をよそに熱心に捜査をする中、知り合ったのが咽喉科医・四鐘彰久。静かな佇まいの有能な医師で、協力を約束してくれた。一方、道警内部の軋轢に苦悩する阿久津…そして、実は四鐘こそ「箱折犯」その人だった――!! 血と暴力と追憶に彩られた黙示録クライムスサスペンス、ここに開幕!!

 

表紙の悪魔のような男、というか自称「悪魔」で「地獄」の四鐘彰久という美人な咽頭科医こそが箱折り犯その人であり、お気に入りのオペラにのせて人骨をボッキボキに折るのは目的ではなくあくまでも過程だとするザ・サイコパスです。

 

この四鐘センセがもう可愛くて素敵で…梶本先生はサイコパスをチャーミングに描くのが上手すぎる。

この繊細そうな見た目、おちゃめな性格、妙に心を掴まれる彼なりのポリシーや美学のせいでどんなに残忍非道なことをしていてもどうしても憎めないし、彼の美学を理解してみたいという危険な考えにまで及んでしまうような不思議な魅力があります。

四鐘というのは偽名で本名はミハイル=ハーマンというらしいですが、年齢も謎に10歳もサバ読んでたし気分で名前や年齢変えてそうなのでどの情報が本当なのか分かったものじゃありません。

 

そしてこの箱折り犯を一人で追い続ける刑事の阿久津が捜査のために四鐘先生のクリニックを訪ねて2人は出会います。

四鐘先生が何を考えて何を成そうとしているのかはさっぱりですが、とりあえず阿久津との出会いが先生の内なるものを最高に掻き立てたことは分かりました。

名刺の匂い嗅いでましたからね。危なすぎる。

先生にとって阿久津は「完璧」であり「私がお前のメフィストーフェレ」なんだそうです。

宣伝文によると「その出会いこそが血と暴力と謎に満ちた驚愕のサスペンスの幕開けだった―!」

との事なので、ここから事件解決に向けて阿久津が奔走する展開ではなさそうでますます続きが気になります。

 

このメイン2人の唯一無二の存在に出会ってしまった感じや会話の色っぽさ、かけ合いのお茶目さを見ているとやっぱりどうしてもそういうアレを期待してしまうんですが、そこは一般誌ということで自分を戒めつつ…

でもこういう当てはまる言葉がないけど確実に互いを強烈に意識してる関係、滾る。

 

人物のことばかり書いてますがこの漫画はストーリーが本当に面白い。

ただ凶悪な箱折り犯とそれを捕まえんとする刑事の図だけでなく、婦女暴行犯、不祥事をもみ消そうとする道警内の圧力、箱折り事件について何やらほかにも隠しておきたいことがある様子の警察の上の人間...

と一体どれだけの悪が存在してるんだというくらい悪が渦巻いてます。

不祥事というのは8年前に箱折り事件の容疑者として身内の警官を冤罪で捕まえたもので、この事実がバレないよう道警全体で事件そのものを無かったことにしようとするんですね。

なので警察内の上の人間は箱折り犯をいつまでも追い続けている阿久津を邪魔な存在だと思っていて、口を開けば「あの事件は終わったんだ」と相手にしない。

犯人に仕立て上げられてしまったカガミという男は阿久津の同期で、カガミのためにも阿久津は箱折り犯を絶対に捕まえようと心に決めている。

カガミは度重なる尋問のせいで今は精神病棟に入院しており、阿久津が見舞いにくると子供のように喜ぶ...というシーンがあるんですが、うまく言えませんが自分はこういうものを見たいがために梶本先生の作品を読んでいる気がします。(まだコオリオニだけですが)

片方が相手に依存していて他方もそれを受け入れてるけどどこか冷めていて熱量が同じじゃない感じ...

自分が満たされていない人ばかりなので人に優しくとか読んでいてあったかい気持ちになるようなハートフルな人間関係が存在しないんです。

カガミのために箱折り犯を捕まえてやると言ってはいますが阿久津も決して善人に描かれてるわけじゃないんですよね。

正義vs悪ではなく、自分なりの正義を持った悪がひしめき合う中で悪そのものを解剖しているように思えます。

四鐘先生が言った

「悪とは単なる善意の不在かな?」

「純粋な正義と無償の悪の違いとは?」

この台詞こそが今作のテーマだと思わずにはいられません。

 

それにしてもこの事件を蒸し返そうとするとお偉い方があまりにも大慌てなのが怪しすぎますね…

隠したいことは冤罪の件だけじゃないんでしょうたぶん。

こういういろんな謎とか伏線がゴロゴロ転がっていて、先は気になるし読めば読むほど新しいことに気づくので思わず深読みしすぎている自分がいます。

 

 

四鐘先生は自分が出した犠牲者の無残な死体写真を見せられても白々しく乙女なリアクションをとっていたり、普段も飄々とした立ち居振る舞いなんですが、阿久津が箱折り犯を捕まえたいと語った時の先生の表情…作中で唯一素が出ていたように感じたんですが、あの時の感情がすごく気になります。

キョトンとしているようにも見えたので阿久津が生き生きと箱折り犯の存在を証明したいと話す様に毒気を抜かれたのかな?

捕まえて罰を受けさせてやりたいとかでなくこういう台詞が出たこと自体に驚いたのかもしれない。

長年自分の行為を無かったことにされていた彼的には箱折り犯=自分だと証明してくれる奴が現れたとますます阿久津への期待が高まった瞬間だったことでしょう。

 

…と色々考えさせられる漫画ですが毎回四鐘先生の肉体(半裸)を見て全てが吹っ飛びます。

病院にいるときの華奢な印象のインテリ先生とのギャップよ…。

やっぱり簡単そうにポキポキ折り畳んでるけど人の関節をあれだけ綺麗に逆に折るって相当な力がいるんだろうなあ。

死んだ状態ならまだしも生きてますからね。

これから一体何人の犠牲が出るのやら…

神の子羊ミハイル=ハーマン50歳の動向に目が離せません。

 

 悪魔を憐れむ歌は読んでいて色んなものが削られていくのを感じてとにかく消耗しました。

梶本先生は無事なんだろうかと思うくらい。

そんな梶本先生の今作のあとがきを読んで大変感銘を受け、ますますこの作品が好きになりました。

日常の苦痛を感じることが許されない中で、せめて漫画の中だけは苦しみを謳歌できるようにとあらゆる痛みを我々に提供してくれる梶本先生の作品は、ほかの漫画を読んでいるときとは違うものが分泌されているような感覚です。

 

この悪魔を憐れむ歌でもうそれはそれはばっちり痛みを謳歌させてもらったのであとは次巻までにゆっくり咀嚼しようと思います。

 

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高3限定(POE BACKS Babyコミックスextra)

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中村明日美子 「ダブルミンツ」 番外編 感想 耽美なJKに見惚れる

OPERA vol.62に掲載されているダブルミンツの番外編を読んだのでちょろっと感想。

 

 以下ネタバレ注意。

OPERA vol.62 (EDGE COMIX)

OPERA vol.62 (EDGE COMIX)

 

 

「女子高生は好きか?」

という佐伯さんの台詞で始まるこの番外編。

そしてこのJKというのはもちろんヤクザの娘。つまりお嬢。

中村明日美子先生の描く女子は最高ですが、このお嬢も極上のエロス溢れる雰囲気のある子で、ドンペリ飲みながらパンケーキ食べてついでにハッパスースーしちゃうような子でもあり…。

BLに登場する女子は邪魔者扱いされるのが常ですが、このJKがものすごく良い仕事をしてくれていて、話をダークな方向に面白くしながら主人公2人の間に漂うなんとも言えない空気感を第三者的目線で味わわせてくれるという…素晴らしき女子でした。

 

私は明日美子先生が描かれる食事シーンの美術品のような美しさにいつも見とれてしまうんですが...例えば

ダブルミンツ本編ではミツオが「断髪式」のDVDを見ながら桃を食べるシーン。

同級生シリーズはハラセンが佐条に目玉焼きだったかな?を妄想の中で食べさせるシーン。

 もう本当に息を呑む美しさというか、あれ、桃とか目玉焼きってこんなに卑猥な食べ物だったか…?

と感じるような明日美子先生ミラクル…。

今回もばっちり自分の知っているパンケーキとは違う物に見えてハラハラしました。

 

あとはやっぱり「目」ですね。

あの三白眼の妖しい視線にものすごくドキッとさせられました。

みつおがラリってお嬢とキスするのを黙って見つめるミツオの視線。

キスをしながらミツオの様子を盗み見て2人の恋人でも友達でもない不思議な関係を探ろうとするお嬢の視線。

ちょっと普通じゃない人の目だよこれは…

ミツオとお嬢ってちょっと似てるかもなあとか思ってしまった。

作中でみつおのちょっと人間らしさを感じられる台詞があり、ミツオのみつおへの愛がひしひしと伝わってくる素敵な台詞あり、ラストはふふっと笑えるダブルミンツらしい終わり方でした。

 

 

ダブルミンツが実写映画化されると知ったときに、ついにblの、しかもこういうタイプの作品が映画になっちゃうのか~と思って自分は原作だけで十分かなという感じだったんですよね。

また同級生みたいにアニメ映画化ってわけにはいかんのだろうか...って気持ちもあったし...

でも今回のOPERAの特集で監督の方とみつお役の田中さん、明日美子先生、トウテムポール先生の対談が載っていて、それを読んだら作り手の作品への愛がもうバシバシ伝わってきました。

特に田中さんはあの華奢なみつおの身体になりきるために周りに心配されるほど痩せて、服装や歩き方まで意識して1年かけて役作りをされたとのこと。

なるほど映画のトレーラーを見てきましたが見た目だけでなく仕草や視線の動かし方までみつおそのものだ...!

 

脚本を明日美子先生が手直しされている画像もあったんですが、これがかなりの辛口でこのキャラはこんなこと言わないとかこういうシーンは不要とか...

確かに修正前のものが映像化されていたらファンは間違いなく劇場で困惑していたと思うので先生の希望にすり寄せてくれて本当に良かった。

 

映画ダブルミンツ、かなり期待できそうで楽しみです。

 

ダブルミンツ (EDGE COMIX)

ダブルミンツ (EDGE COMIX)

 

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「アオアシ」作者・小林有吾先生のサイン会に行きました

迷ったんですけどサイン会の興奮が冷めやらないうちに書き留めておこうと思います。

5月13日、大好きな漫画「アオアシ」の作者・小林有吾先生のサイン会に行ってきました。

ド田舎者のサイン会初参加ということで色々分からないことをネットで調べ、前日のラジオを聴き士気を高めて横浜へ。

整理券を受け取りに行ったら44番で15時にコミック王国様に集合とのことだったので色々散策しつつ...張り切りすぎて14時半過ぎに向かったらまだ前の回の集合時間でした。

15時になるまでコミック売り場をぶらぶらしていたんですが、都会の本屋さんてあんなに超有名作家様たちのサインがわんさかあるんですね...

右を見ても左を見てもサイン色紙や素敵なイラストだらけだったので思わず見入ってしまいました。

時間に近づくとアオアシを手に持った人達がどこからともなくわらわらと集まってくるのがなんだか異様な光景だった。

 

全体の参加者を見ていないので定かではありませんが、やはり男性が多かったですね。

男女比は7:3くらいでしょうか。いや8:2くらいかもしれない。

幅広い年齢の方がいらしてました。

いよいよ整列。幕の向こうから先生のお声が聞こえてくる...!

最初あまりに気さくな感じに聞こえたのでスタッフの方かな?と思う程でした。

参加者の方はアオアシ9巻を読みながら漏れ聞こえる会話に聞き耳を立てていたことでしょう...

自分は左耳の聴力を最大限に使って聞いてました。

 

ついに自分の番がきて、中に入ると、爽やかさを具現化したような素敵な笑顔の先生が...!

あの、なんだろう、爽やかすぎてなんだか周りに風が吹いてそうな方でした。

サインと、なんと好きなキャラまで描いてくださるとのことで、私は橘にしてもらいました。

その時点では橘初描きだったそうでちょっと意外。私も随分迷ったんですよね~。

やはりここは主人公にしてもらうべきかとか、9巻のちびっこバージョンも可愛かったし、Aチームの桐木くんも気になってるしなあ~と。

でも流石にね、まだほぼ喋ってないキャラはね...

その事を伝えると、ちょっと驚かれた後「あいつは多分出来る奴」とのことでしたw

まあだからAチームなんでしょうけどね。

 

サインに名前を書いてもらうときに私の漢字が常用漢字ではないので「間違えないようにしなきゃ」と字をよーく見て書いてくださっていたのがとても印象的でした。なんて良い方...!

イラストの橘はトレンドマークの太眉が最高にチャーミングでなんだか余所行きの笑顔をしており、いつもより2割増くらいイケメンな気が...

 
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お手紙と、かさばるといけないと思って大分寂しい感じになってしまった地元のお土産を渡して...

そして最後に握手まで...!

ああ~なんて日でしょう!

 

↓こんなかんじ

 

はあ~~~もうとにかく贅沢な一日でした。

サイン会ってすごいですね。アオアシがもっともっと好きになりました。

わざわざ関東まで来てくださったお陰で参加でき、もう感謝しかありません。

大勢の初対面の人と会話をしながらサインを描くってもうものすごく疲れることだと思います。本当にお疲れ様でした。

 

小林先生、スタッフの皆様方ステキな時間をどうもありがとうございました!

 

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

 

小林有吾「アオアシ」 9巻 感想 ちびペリオンが可愛い。武蔵野戦開幕

橘が望コーチに自分を試合に出さないよう直談判したり、富樫と竹島との確執があったりと不穏な空気が立ち込めはじめていた8巻。

9巻はそんな雰囲気が続きつつも、Bチームメンバーの過去編を通して一人ひとりが精神的に大きな動きのある巻でした。

 

以下ネタバレ注意

アオアシ 9 (ビッグコミックス)

アオアシ 9 (ビッグコミックス)

 

今回のメインは何と言っても富樫の過去編。エスぺリオンに入団した時からジュニアユースの昇格生を毛嫌いしていた理由が明かされます。

どうやら小6のとき富樫はジュニアユースの練習に少しだけ参加していたらしく、

そこで富樫の「勝つためのサッカー」と、ユース生の「プロになるためのサッカー」

この2つが全く噛み合わず、互いを理解できずに衝突。

富樫曰くアカデミー育ちのサッカーは「ケガをしない、プロになる、試合に勝つ」という優先順位を無意識に付けており、差し引きをしながらサッカーをやっている。そういうやつは生きるか死ぬかの試合で役に立たないという主張。

対して黒田・竹島を始めとするユース生側はプロになりたいと思って何が悪い、自分たちは人生が掛かってるからプロになれなければそこで終わりだと言う。

多分ユース生は元々才能お化けの集まりだから冨樫のいう「生きるか死ぬかの試合」がピンとこないんでしょうね。

そういう大事な試合の局面でユース生とそれ以外の選手の温度の差が露呈して「ユースはメンタルが弱い」と言われるんじゃなかろうか。

いやしかし小6で、サッカーに対する意識の違いで争いになるって正直すごい。

やっぱりみんな小さい頃からレベルの高いサッカーやってたんだなあ。

この過去編を読むとジュニアから昇格できなかったチームメイトの代わりにユースに入ってきたスカウト、セレクション合格者の冨樫や葦人と馴れ合わない理由も少しわかるような気がします。

ともあれ富樫がユース生を毛嫌いしている理由が黒田や竹島から陰湿な嫌がらせを受けたからとかでなく良かった。

みんなサッカーに対する思いが強いが故にこれだけは譲れないというポリシーを自分の中に持っていて、その方向性の違いからぶつかり合っただけなんだろうな。

この9巻の大半は武蔵野戦の試合描写になるだろうと思っていたので、こういった過去編にページが多く割かれて試合はほんの序盤しか描かれないのは正直驚きました。

一見ストーリー的にはあまり進んでいないように感じますが、Bチーム全体の成長という面では今までで一番大きな変化があり、頻繁にキャラクターが口にする「強い」「弱い」というワードが鍵になっているのかなと思います。

自分は強いと信じて疑わなかった昇格生が冨樫との対立や自分の弱い部分を受け止めている橘を通して、まだはっきりとは分からないが確かに存在する己の弱さと向き合おうとしている。

昇格生とセレクション、スカウト組の間にある壁を下手に馴れ合うことで解消するのではなく、自分と他者の弱さを認めて少しずつ歩み寄ろうとしている...。

アオアシのこういう丁寧な描写が本当に好きだし、この細かい心理描写が入ることでその後の試合が2倍、3倍面白い。

葦人の「自分の弱さと向き合わなきゃいけねえ。」が9巻の総括のように感じました。

今回は栗林や阿久津といったAチームのメンバーが登場せず、Bチームの葛藤がまるっと1巻分描かれていたので次巻の武蔵野戦がより濃いものになりそうです。

今まではガッツリ葦人の成長を見守っていける試合内容でしたが他のメンバーの爆発的プレーも見られそうでさらに面白くなる予感。

関係ないですがアオアシで葦人がなにかの気配を感じてゾッワアアアって鳥肌恐怖すると必ず阿久津渚が来た!と条件反射で思ってしまうんですけど、今回は違いました。

花ちゃんが葦人の尻をまさぐっただけでした。(物理)

2人の関係は葦人が天然くるくるパーなせいでなかなか進展しないので…

(1巻で女子にパンイチで求婚するくらいには恋愛IQが低い)

花ちゃんは栗林にせっせと献立作って葦人を嫉妬させてサッカーどころじゃなくしてやればいいよ。

そんな二人を生温かい目で見つめる大友も大活躍でした。主に顔芸で。

いつもちゃっかりコマの隅っこで面白顔をしているので大友を探すのも楽しみの一つだったりします。チームが重い空気のとき彼がいてくれるととても和む…

そして今回冨樫と並んでスポットが当てられていたキャラが竹島

竹島は練習場に彼女を連れてきたり自称「プライベートとサッカーを完全に切り離しているタイプ」で、流石に才能ある子はクールだなあと思ってましたが、今回は髪型も大胆チェンジして何かに目覚めた感じでした。

というか竹島って赤髪だったんですね。実に赤髪リーゼントらしい気合の入れ方だ。

葦人以外のキャラが目立ち忘れてましたが、武蔵野戦は「試合の働きいかんでAチーム入りを判断する」と福田監督に言われている葦人にとってもめちゃくちゃ大事な試合。

ちょっと色んなキャラの進化の予感をビシビシ感じているので...一体どうなるんだ10巻武蔵野戦。

葦人の司令塔としての活躍が待ち遠しいです。

 

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BC『アオアシ』コミックス公式PV

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

 

あげくの果てのカノン 3巻 変わっていく人。変わって欲しくない人。変わっても好きな人。

3巻も面白さににのめり込んでしまいあっという間に読了。

1・2巻ではまだ曖昧なところもあった宗介、初穂、そしてかのんの弟ヒロの本音が垣間見え、かのん含め全員が「ゼリー」にずぶずぶと飲み込まれていくような…泥沼展開です。

 

 

以下ネタバレ含みます

あげくの果てのカノン 3 (ビッグコミックス)

あげくの果てのカノン 3 (ビッグコミックス)

 

 ↓1・2巻感想

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話は宗介目線で始まり、かのんの収集癖を知っていたこと、そして相手が人であることを忘れて「好きなら何をしても良い」と思っているかのんのような周りの存在を迷惑だと感じていた事が明かされます。

初穂は試すように宗介をかのんのいるケーキ屋に向かわせ、そこで初めて2人が言い合いになるシーンでかのんの行為が「気持ち悪い」「重い」そして「神さまとか笑わせるなよ」と言う宗介。

かのんはこれに対し幻滅するかと思いきや、先輩は神さまなんかじゃなく自分たちと同じ身勝手な人間でそれでもこんなに尊い存在...やっぱり先輩は最高!という思考になる辺り、重症です。

初穂は宗介が自分の元へ帰ってくると信じていたのに、まさかの逃避行展開になることで今まで未遂で終わっていた浮気とは宗介が相手に求めているものが明らかに違うと分かってしまった。

宗介は自分の言葉に一喜一憂する従順なところが気に入りかのんに近づいたと思っていたのに。

期待させるだけ期待させて傷つけられたと怒って訴えてくるかのんの事を面倒になって捨てるだろうと予想していたのに。

結局自分のところへは戻ってこなかった。

 

変わっていく宗介を受け入れられない初穂は「宗介のため」だと言いゼリーの研究をし、周囲もそれを愛の力などと囃し立てる。

宗介が変わっちゃっても、私が止めるから。私たちはずっと一緒よ...

という妻の言葉を呪いのように感じる宗介は、変わることを誰からも許されない中でかのんだけは変わらず好きでいてくれるんじゃないかと希望を持たせてくれる唯一の救いなんだろう。

 

かのんの弟、ヒロもついに自分の気持ちをかのんに伝え、宗介のことばかりで自分に向けられた好意には気づいていないように見えたかのんは実はヒロの気持ちを知っていた。ここで驚いたのがかのんがヒロとの姉弟という関係を壊さないよう、気まずくならないよう気を遣っていたというより「先輩以外の人に好かれたところでなんの意味もない...」という感情から気づかないふりをしていたこと。

自分が振り向いて欲しい人間以外には微塵も心が揺さぶられないかのんには一方的に人を好きになることの残酷さと恋をする人間の狂気を感じます。

 

 

3巻は宗介の変化に対するかのん、初穂の対比と、ヒロの姉を救い出したい思いが交錯していて面白かった。

先輩との距離が近づけば近づくほど望んでいた世界は遠くなり、家族や大切な人たち幸せを「私が壊した...」と涙するかのんがどんどんあげくの果てに向かっていくような気がして胸が苦しくなります。

 

4巻の予告で「境さん...気持ち悪い...」という誰かの台詞と、「変わりゆく境。その姿はもう...」という煽りがあるんですけどこれは...

境先輩が次の修繕で一体どうなってしまうのか、続きが待ち遠しい。

次巻は冬か。長い...