鹿のいほり

漫画の感想など

河原和音 「素敵な彼氏」 3巻 感想 付き合うふりからのカップル成立率は100%

「来るもの拒まず去る者追わず」な塩顔イケメン×「素敵な彼氏」を夢みる天然女子のラブコメディー。3巻読みました。

 

ついに桐山くんのことが好きだという気持ちを自覚したののかでしたが、彼の方は自分のことをなんとも思っていなかったと悟り、泣き出してしまったところを「気がすむまで泣いて」と奨平くんが抱きしめたところが2巻のラストでした。

 

以下ネタバレ注意

 

 

素敵な彼氏 3 (マーガレットコミックス)

素敵な彼氏 3 (マーガレットコミックス)

 

 

 ・あらすじ

桐山くんの一挙一動に舞い上がっていたのは自分だけだったんだ...と落ち込むののか。

一方奨平くんのほうも最近失恋をしたらしく、ひょんなことから2人は宿泊研修の間だけ付き合っているフリをすることに。

さわやかイケメンで話しやすい奨平くんに少し気持ちが揺らぐののかでしたが、結局自分の本当の気持ちに気づき、ついに桐山くんに思いを伝える決断をします。

「話がある」と言い覚悟を決めて桐山くんの家に向かいますが、そこにはなんと彼の元いいなづけが...2人の親しい様子に、ののかは告白をやめてしまいます。

その後桐山くんが「あの時の話ってなに?今から会えない?」と夜ラインでののかを呼び出すところで次回...という流れでした。

 

偽装カップルで宿泊研修

奨平くんと付き合っているという設定で過ごす宿研ですが、中庭のベンチで2人で話したり登山で足をくじいてしまったののかをおんぶしたり...もう普通のカップルにしか見えません。

あのクールな桐山くんがちょっと怒ってる?ような素振りまで見せて分かりづらいけど完全に嫉妬してました。

その後も偽装カップルのイチャつく姿を目の当たりにし、ついに嫉妬を通り越して寝込んでしまう始末

お願いだからクールキメてないで告白して...

 

そんな中ののかが山の中にひとり置き去りにされ、もちろん探しに行くのは桐山くん。

ここで...1巻ぶりの...キス...!..in洞窟。

改めてあまりのアップに耐えられるイケメンぶりにめちゃくちゃドキドキしました。

 

元いいなづけ

新キャラの桐山くんの元いいなづけ真央。自分のこと名前で呼んじゃう系女子。

これは清々しいほどに読者の大半から嫌われるタイプだ...。

直接ののかに「直也と付き合うつもりだから邪魔しないで」と宣戦布告してきますが、ちょっとここで聞き捨てならないセリフが...

「直也いま彼女いないんでしょ?そういう時は付き合ってくれるもん」て...

これ今まで何回もくっついて離れてしてますねこの2人。

桐山くん、NOといえる勇気を持って...

まあののかと出会うまで恋愛に関してフワフワしてた男が初めて本気で人を好きになるよって話だと思うので、この辺は目を瞑ろう...

4巻は真央の話がメインになって来るのかな。

 

今回は間の悪さが目立ちました。偽装カップルが抱き合っているところを振り返った桐山くんが目撃したり、ののかが告白しようとしたら元いいなづけに遭遇したり。

読者的には間が良いともいえるのかもしれませんが。

真央に「タイミングが合わない人とはずっと合わないよ」と言われて桐山くんもちょっと考え込むような感じでしばらく引いちゃうのかなあと思いきや、後半彼にしてはかなり積極的でした。

ののかの偽装彼氏である奨平くんはサッカーの試合でかっこいいところを見せたりおんぶで山登って男らしさを見せてましたが、結局ののかの中では「全然嫌いじゃない」止まりでした。

でもこういう付き合うフリをする展開ってどちらか一方が罪悪感を感じたり悶々として話が暗くなりがちですが、ののかは桐山くんのことを気にしつつも奨平くんとのお付き合いを単純に楽しんでる感じがして良かったです。

あれだけ彼氏を欲しがっていたわけだし、仮にも初めての彼氏と宿泊研修でしかもカップルイベント満載だったら当たり前にドキドキするよなあと素直に共感しました。

 

素敵な彼氏は桐山くんの元カノがもうすでに2人も出てきて今回奨平くんという当て馬的存在も登場し、少女漫画の展開としてはちょっと早いかなと思うんですが...そんなに長期連載にはならないんだろうか。

桐山くんとののかをもっと見ていられることを願うばかりです。

 

mominokirin.hatenablog.com

先生! 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)
 

mominokirin.hatenablog.com

Amazonアソシエイト

 

当ブログ「鹿のいほり」はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

 

よろしくお願いします。

「ダブルミンツ」 中村明日美子 感想 2人のみつお。同じ名前が持つ魅力。

※bl漫画の感想です。

 

 映画が2017年初夏公開と聞きようやく読みました。

それにしても最近BL映画化多いなあ。

それだけ作品の数自体が増えたし、かつ重厚なストーリーのものがどんどん出てきてるという事だろうか…。

ダブルミンツ (EDGE COMIX)

ダブルミンツ (EDGE COMIX)

 

 

ダブルミンツはかなり前から読みたいリストに入れていて、自分これ絶対好きなやつだな…という謎の確信があった作品でした。

中村明日美子先生といえばBLの教科書と言われることも多い(もしくは勝手にそう思っている)「同級生」シリーズがその界隈ではあまりにも有名。

初めてこの作品を読んだときに「面白い…面白いんだけどこの作家さんの耽美な絵と映画のような話の構成力でもっと重苦しくてぐちゃぐちゃどろどろしたBLも読んでみたい…!」と思い、

どうやらこのダブルミンツがその究極の理想形のようだぞ…と各所のレビューを見てみると

「同級生シリーズの爽やかな雰囲気が好きだったのでこちらは無理だった」

とか

「重い。痛い。登場人物がクズ。」

といったものが多く、逆にかなり興味をそそられました。

 

読んでみた結果、自分の思っていた数倍重く、痛々しく、美しい作品で、まさにこれだ…!という感じでした。

 

 

以下ネタバレ含みます。

 

 あらすじ

メインの2人は同じ名前のミツオ(攻)とみつお(受)。

この攻めの方が、高校時代みつおにカツアゲされたり素っ裸に剥かれて体育倉庫に閉じ込められたりと、度の過ぎたイジメのような事をされていた。

おまけに中2から付き合っていた彼女まで寝取られる。

この時点でもう最高にクズい…のに、そんな最低なことをするみつおがただただ綺麗にみえて仕方がないミツオ。

怒るどころか、さっきまでみつおと寝ていた彼女を今度は自分が抱き、彼女に残るみつおの跡を探し、辿るという…清々しい変態っぷり。

数年ぶりにみつおから「女を殺した」という電話がかかってきて、卒業以来会っていなかった2人はそこからまた関わりを持ち始めます。

試し読みの時点ではこの、女を殺したという罪を背負って生きていく…みたいな話かなと想像してたんですが…この後にもヤクザ絡みの生きるか死ぬかみたいなそれはもうヘビーなことがてんこもりでした。

 

ページに見とれる美しさ

やっぱりあの素敵な絵で男性の身体を熟れた果物のように描いているので、手足の骨ばった感じとか腰の曲線とか、もう見とれるほど綺麗。

受けが足が冷えたからあたためろと言い、攻めが足先を丁寧に舌で舐めるシーンがあるんですが…もはや美術作品で、こういう描写は中村明日美子先生じゃないとここまで魅力的に描けないだろうなあと思います。

読んでいくと2人の形容しがたい関係性が面白い。

ミツオは首尾一貫して熱のこもった目でみつおを見ているけれどみつおの方はどう思っているのか今いちよく分からず、

でも2人が愛し合うシーンとか過去の事も踏まえて考えると、おそらくみつお側も高校時代からミツオから目が離せなくなっていたのでは…と感じました。

 

ダブルミンツ

ダブルミンツ

 

あとは…なんと言っても「断髪式」の映像を見るところ。

みつおは普段ヤクザの犬のような事をしており、そこで過去にヘマをしたケジメつけるために髪を全部刈られて丸坊主にされ、おまけに複数人にマワされるという地獄の一部始終が収録された映像をミツオが見るんですが…

ここ、正直えろすぎて息を飲みました…

狂犬のようなみつおの泣きじゃくる顔、呂律の回らない懇願、完全に見てはいけないものを見ている感覚です…

また坊主になることでみつおの三白眼や造形の美しさがより際立って、最高…。

 

まとめ

作中で「好き」とかそういう甘ったるい台詞は一言もないのに、自分を簡単に犠牲にできるくらい2人が互いのことをどうしようもなく大事に思っているのが伝わってくる。

分かりやすくヤバい奴なみつおと、実は闇を抱えた人間だというのが徐々に明らかになるミツオ。良く似た2人の関係が大きく変わるとかどちらかが相手を救い出すとかではなくて、寄りかかりながらさらに深い所まで一緒に堕ちていくような…そういう話に感じました。

あとがきで中村明日美子先生が「同じ名前の人間」について触れていたけど、作中でも「2人は元々2人で1人の人間で、それを半分に切り離されてバラバラの人間になったんだよ。」

とミツオが話す場面があります。

2人が何となく似ているからというのもあるけど、同じ名前の人とは何か近いものがあるように感じることは良くあるし、そう考えると、2人がまた再会して遠い異国に2人で逃げるのは始めから決まっていたことのような気がしてなりません。

 

中村明日美子先生の作品は同級生しか手を出せていなかった自分にとっては引き出しの多さに度肝を抜かれました。

同級生が表だとしたらダブルミンツは裏だろうか…裏同級生…。

果たしてこれをどう映像化するのか…

ちょっと間違えると「ふーんそれで?」となってしまうモノになる可能性がありますが、とにかく公開が楽しみです。

 

mominokirin.hatenablog.com

アニメ「鬼平」が今期1番の面白さ

2017年冬アニメも後半に入ってしまいましたが...

 

録り溜めた鬼平をそういえばまだ見てなかったと思い出して、一気見しました。

 

…すごい好きなやつでした。

 

 

 

鬼平正直あまり話題になってない…ような気が...

7話を観て泣いたので、気持ちと後半に向けての話の整理をするために感想を書こうと思います。

 

あらすじ

原作は池波正太郎の小説「鬼平犯科帳」。

江戸時代後期に盗賊たちに「鬼」と恐れられていた男、長谷川平蔵

火付盗賊改方(特別警察のようなもの)である鬼の平蔵が、持ち前の剣術と正義の心で悪を裁いていくという話。

 

 

鬼の平蔵がとにかくカッコイイ

「勇気と人情あふれる人柄で、毅然とした佇まいの中にもどこか色気を感じさせ人を惹きつけるオトナ」と紹介されているまさにその通りの人物。

こんなに色々持ってるってずるいと思うくらい、うわあ~良いオトコってこういうのだよなあとしみじみ。

江戸時代のいわば警察なのでものすごく腕が立つのはもちろんのこと、人としての魅力が溢れてます。

時には盗賊に情けをかけて、盗みをするしかなかった波乱の人生を思い一緒に悲しみに暮れたり、そんな人々を自分の元で働かせて親代わりのような存在になったり。

素っ裸で捕らわれた女性を誰にも姿を見られないように気遣う紳士な面も。

一見完璧なのに普通に怒ったり泣いたりする人間らしいところが素敵。

 

アニメ観ていてこんなに「かっこいい...」を連発したことないくらい、ついつい口をついて出てます。

 

鬼平はこのイケオジ長谷川平蔵が盗賊を叩くというよりは、平蔵を中心とした人間ドラマがメインで描かれてます。

なので話は毎回まったく違った切り口。人の数だけ色んな人生があるんだなあということを思い知らされます。

 

 感動の7話

冒頭で「泣いた」と書いた7話ですが、

この回は幼い頃に継父から虐待を受けていた音松という男の話。

音松は子供の頃に平蔵と出会っており、12歳という若さで路頭に迷い、色々悪事をはたらいた挙句捕らえられて平蔵と再会します。

まだ30にもならない若さにも関わらず「もうくたびれちまったんだよ…」と言い自らの意思で磔を望む姿が、見ていて辛くて辛くて...

最後に平蔵に「何か望みはあるか」と聞かれ、少し躊躇ったあとに「鬼の平蔵にこんなこと頼めないな...」という音松。

でもそこで平蔵が音松の気持ちを汲んで、間髪入れずに黙って抱きしめる...

もうここで涙腺崩壊でした(;_;)

あの瞬間は間違いなくお互いを大切に思い合う「親と子」でした。

 

 

アニメ「鬼平」原作 鬼平犯科帳セレクション【文春e-Books】

アニメ「鬼平」原作 鬼平犯科帳セレクション【文春e-Books】

 

 

 1話完結で入りやすい

1話で毎回綺麗にまとまっているのも良いです。尺のこととか忘れるくらい、始まった瞬間からスーっと話に入っていけてジーンと心温まったり、切ない気持ちでやるせなくなっている間にいつもあっというまにエンディングです。

モヤっとしたまま、救いのないまま終わる話もあるんですよ。

でも中途半端に話を投げずしっかり最後まで描かれているせいか、自分の中できちんとまとまるし、今回も本当によかったなあという感想しかないんです。

 

一週間に一回こういうアニメがあると、大げさかもしれませんが生活のバランスがとれるというか...

今日は帰って鬼平みてゆっくりしようって思うと気分が落ち着くんですよね。

平蔵は堀内賢雄さんが声を当ててるので、あのオトナの低音ボイスのせいもあるかも。

平蔵にぴったりはまっていて良い上司感がものすごいです。

 

 

鬼平と五葉

私はノイタミナ作品のさらい屋五葉がアニメの中で1、2を争うくらいすごく好きなんですが、鬼平は五葉を見ていたときとなんとなく同じ気分で視聴しているような気がします。

まあ時代が一緒なので当然といえば当然かもしれませんが、あの時代の独特な雰囲気とか男女の艶っぽい関係とか、作品にまとうしっとりした空気感がとても心地がよくて、江戸の酒処に入って「酒とつまみ」って言いたくなります。

 

1話だけ見てみるかくらいの気持ちでまさかこんなにハマるとは...

戦闘シーンもカメラアングルがぐるぐる変わってスピード感あり迫力あり、作画も綺麗です。

シリアスな作品だと受け取られてしまうかもしれませんが、クスクス笑えるシーンだったりギャグもたくさんあります。

 

 

あと6話も観られるなんて幸せしかない...

小説も読んでみようかなあ。

観てない人には本当におすすめしたいアニメです。

 

 

 

mominokirin.hatenablog.com

 

 

 

小林有吾「アオアシ」 8巻 感想 サイドバックだからできること

アオアシ8巻の感想です。

 

以下ネタバレ注意

↓全体を通しての感想

mominokirin.hatenablog.com

アオアシ(8) (ビッグコミックス)

アオアシ(8) (ビッグコミックス)

 

 

まず表紙がかわいい。

花ちゃんと杏里ちゃんエスペリオンユニフォーム似合いすぎ...。

巻末に書き下ろしでアオアシ女子4人がユニフォーム着ているイラストがあって、こちらも最高でした。母もまだまだいけるよ。

 

あらすじ

東京都リーグ四連敗中で後がないエスペリオン。

フォワードなのに点が取れず負けたのは自分の責任だと落ち込む橘。

そこで仲良し4人でお好み焼き食べに行ったら懐かしい2人に遭遇…からの不穏な空気。

さあもう負けられない次の試合でアシトがサイドバックとして初めての公式戦出場。

そこで素晴らしいプレー&強烈なキャラを披露するキャプテン義経さん。

アシトが例の天賦の能力で司令塔としての才能を開花させ始め、初の一勝を収めて歓喜するエスペリオン面々…の中でひとり浮かない顔の橘がびっくり発言…

それを聞いたアシトが「武蔵野みにいこう」

 

という感じでした。

小林先生のブログで8巻のあらすじに「悩む橘」というワードが3回も使われていて笑いました。

でも本当にこの1巻まるっと悩みに悩んでました彼…

人一倍責任感じやすい性格だし、武蔵野から抜けてきたわけだから結果を残さねばと焦りもあるんだろうなあ。

今回怪我の調整でBチーム入りした義経のプロ級のボール捌き、スーパープレーに胸をときめかせながら「あんたのプレーに惚れた!あんたになりたい!」という葦人に対し、橘は「こんなこと俺に出来るわけない…」とこうも両者で違いが出るのかという反応でした。

義経の葦人と栗林が似てる発言にも驚きました。

自分は誰よりも点を取る自信があるが、それはあくまでも11人の中の1人で、栗林はそうじゃない。

その栗林に似てるということはほかの10人にはできない別の役割が葦人にはあるってことなんだろうか...

今回葦人が気づき始めていたサイドバックという後ろのポジションだからこそできる、前の選手の「目」になりコーチングして導き点につなげる....

要は仲間に「点を取らせる」ことが関係してそうです。

 

それにしても義経…ちょっとキャラ濃すぎだ。

語尾に~ナリ。とか無表情で何考えてるか分からないところとか

某有名バスケ漫画の彼を思い出してしまうのは自分だけだろうか…

曲者揃いのエスペリオンをまとめあげているというのにこのぬぼ~っとした感じ。好感度上がります。

 

 

今回サイドバックで公式戦デビューのアシト...

今まで点を取ることを第一に考えてサッカーをやってきた葦人にとってかなり悩み苦しんだ試合だったと思います。

しかし試合終盤はDFの自分を未だ受け入れられないながらもまた何か進化の糸口を掴みかけている感じでした。

今更ながらアシトの能力すごいよなあ…

「ピッチにいる選手全員の位置を把握できる」「選手の次の動きが見える」「空を飛んでいるかのように全体が見えている」

ってこれ無敵じゃん…

これは福田監督がアシトをサイドバックに転向させたのにも頷けます。

だって明らかに周りに指示を出して敵味方を動かした方がチームの得点につながるし。

「周りを使う」ということをだんだんとモノにしてきているので、司令塔として栗やキャプテンや阿久津そして桐木(謎の推し)とAチームで一緒にプレーするのが待ち遠しい限りです。

今回もアシトが悩んだり考えたりしていることを全部見せてくれていたので相変わらず選手の動きが良くわかるし、すごく読み応えのある試合内容でした。

アシトが前の巻で信じられないような成長をしたと思ったら次の巻でまたさらに鳥肌が立つような進化をするので話もどんどん面白くなってます。

 

次の9巻は橘総一朗が活躍してくれるのかな。

彼の復活&覚醒に期待。

 

アオアシ(10) (ビッグコミックス)
 

mominokirin.hatenablog.com

「先生!」 河原和音 感想 素晴らしい当て馬がいた

JKと先生の卒業までの恋愛を描いた少女漫画。

理想の先生×生徒漫画過ぎて興奮気味に読んでいたら文庫版の終盤で突如とんでもない当て馬が出てきて、ちょっと自分の中で処理が追いつかないほどの良キャラだった...。

 

 

以下ネタバレ含みます。

 

 島田響は高校二年生。ある日、友達から頼まれたラブレターを間違えて伊藤先生の下駄箱に入れてしまったことから運命は動き出した。今まで恋をしたことがない響だが、女ギライでクールだけど本当は優しい伊藤先生に徐々に惹かれていき…?

先生こと伊藤貢作は黒髪+メガネ+高身長で煙草の似合う25歳。

女子に「あなたの思う理想の先生像は?」とアンケートをとって集計結果を全て取り入れたんじゃないかと思うくらい素敵で、1ページ1ページが眼福。

基本女子...というか人にあまり興味がなさそうに見えるのに意外と生徒思いだったり、ヒロインの響のことになると教師という立場を押して大胆な行動に出がちなのもまた良い。

響と先生がくっついたり離れたりしながら話が進み、9巻でこの理想の塊伊藤先生に引けをとらないとある当て馬がに登場する。

彼こそ響が弓道部関係で知り合う爽やかイケメン藤岡勇輔で、歴史好きで妙に浮世離れした高校生らしからぬ雰囲気漂うところが伊藤先生と瓜二つ。

響が思いがけず藤岡という「高校生版伊藤先生」に出会うことで、今まで人目を気にして響に彼氏らしいことをしてやれず負い目を感じていた先生は響との関係を終わらせた方が良いんじゃないか...という思考になっていく。

先生自身も藤岡と関わりを持つうちに学生時代の自分と重なるところがあり、今の自分の代わりになってくれるのでは...と期待するのに十分な存在だった。

先生は響に

少し離れてお前が自由に考える時間をあげたい

俺以外のいろんな可能性を考えてほしいんだ

と藤岡のことを仄めかし、

響のことが気になっていた藤岡は

先生が言ったことの意味は俺が教えてあげられるかもしれないから

と響に告白する。

傷心の上ますます混乱する響に返事を迫ったり好意を押し付けてきたりせず、ただただ寄り添い普通の友達のように振舞う藤岡に、先生と似た優しさを感じる響。

自分の好きな人の好きだったところが似ている藤岡を、少しずつ気になり始める。

藤岡と付き合えば響が求めていたものをくれるし、周りにバレて咎められることもない...

だが「手 つなごうか。」と差し伸べられた手に一瞬迷うも、先生との思い出が逡巡し、響は応じる事ができなかった。

それに対して藤岡は引き潮のように静かに身を引いて響の背中を押す...。

最後まで優しさしかない。

 

別れたあとに響との関係を振り返って藤岡が打ち明ける

最後までどこか冷静だったんだ

感情に流されて状況を見失うほどの熱がなかったんだ

という事実がめちゃくちゃ切なくて、あまりに熱とか人間らしさを感じさせない人だと感じていたので少し安心もした。

先生は響が欲しいものをあげられないからと身を引き、響は先生と繋がりのなくなった毎日が辛すぎて心ここにあらず...じゃあ自分はどうすることが2人にとって一番良いのか?と藤岡は常に自分を保ちながら行動を選択してきた。

そういう自分と、響や先生との温度差に気がついてしまったら、もう2人の間に割って入っていくことはできなかったんだろう。

 

終始「先生が響にあげたかった幸せ」のために動くのは響が大切だからというのも勿論あるけど、それよりも「先生の代わり」になろうという意識の方が誰よりも高かったんじゃないか...と思うし、人の気持ちを常に優先する人だから響に幸せをあげられないと悩む先生のことも何とかしてあげたい感情がきっとどこかにあったはずで...

彼の言動を振り返れば振り返るほど聖人すぎてしんどい。

 

先生と一緒にいられなくなってボロボロの響にただ一言、「一緒にいよう」と言ってのける藤岡の寛大さにやられました。

好きな女子がフリーになった隙に付け入ろうとか、いつまでも落ち込んでないでいい加減俺の方も見ろとかそういう感情が生まれてもおかしくないのに、そういう我欲を最後まで一切見せなかった。

正直彼はヒロインとキスどころか手すら繋がないので当て馬としての存在感は薄いかもしれませんが、自分の中で藤岡勇輔という人間そのものの存在は強烈に印象に残り、ラストまで引きずるほどでした。

番外編を読める機会があれば是が非でも藤岡が恋に溺れに溺れて盲目的になる姿が見てみたい。

あ、最終巻の番外編では本当に伊藤先生の学生時代の話があってびっくりしました。

まだ眼鏡してない14歳の先生...控えめに言って天使だった...

小林有吾 「アオアシ」の魅力について

マンガ大賞2017にノミネートされているサッカー漫画、アオアシ

昨年マンガワンでとりあえず1話だけでもと思って読み始めてみたら、もう1話の時点でおおっ?と思いもう時間を忘れて夢中で読み進め、単行本でいう3巻に差し掛かったところで号泣…。

これは久々に熱くなれそうな漫画に出会えたと興奮で鼻息を荒くしながら本屋に走り全巻揃えました。

 

 

以下ネタバレ注意

アオアシ 1 (ビッグコミックス)

アオアシ 1 (ビッグコミックス)

 

 

あらすじ

簡潔にいうと際立ってサッカーが強くもない愛媛の一般中学に通う青井葦人(アシト)がサッカーのユースチームに入ることになり、プロ目指して奮闘する話。

このユースが舞台になっているところがスポーツ漫画として斬新で作品を盛り上げている要素だと思います。

普通のスポーツ漫画ならば8巻まで話が進むと大抵ライバル校の一つや二つ出てきますが、アオアシは8巻時点でそれが全くなく、ほとんどのサッカー描写がユースでの練習風景なんです。

チーム内の練習を見せられているだけって果たして面白いのか?と思いきや、緊張感は手に汗握るほどだし、話が散らばらないのでかえって読みやすい。

私はスポーツ漫画を読んでいるとライバルチームが多すぎて正直キャラの把握で精一杯だったり、もっと主人公やそのチームを深く掘り下げて欲しいなあと思うことが多いので、アオアシみたいにアシトを軸として話が展開される漫画は感情移入がしやすいし単純に内容が分かり易いです。

 

サッカー知らなくても全然OK

アオアシ推しておきながら実のところサッカーの知識は皆無なので、今までほかのサッカー漫画を読んでも試合でキャラがどういう動きをしてどういう経緯で得点につながったのかというのは「ん?」と疑問に思った部分があっても仕方なく読み流していました。

でもアオアシは試合で「何をやっているのか分かる」んですよね。

というのも、得点する場面よりも「ゴールまでの課程」に重きが置かれているので、スペースの使い方やボールを持っていない間の動きがとても丁寧に描かれていて、サッカーの様式美を感じられるような頭を使うプレーが多いからだと思います。

 サッカーってそうそう点が入るものではないのでついゴール場面に目が行きがちですが、そもそもあの広いピッチでディフェンスを躱してシュートを打つチャンスを作り出すことって本当にものすごい事なんだなあと素人ながら感じました。

こういう過程の描写によって、ある意味試合の展開をプレイヤーが直接解説してくれているので手に取るように選手の動きが分かります。

各所で多く見かける「サッカーに対する知識や興味がなかったが抜群に面白かった」というレビューをいつも大きく頷きながら読んでます。

そしてこの頭脳プレーをより面白くしているのが、本人も気がついていないアシトのある天賦の才能によるもの...。

この才能を買われてアシトはユース入りします。

話が進むごとにどんどん覚醒して能力が開花していく様は鳥肌ものです。

 

アオアシ(4) (ビッグコミックス)

アオアシ(4) (ビッグコミックス)

 

キャラクターについて

ユースって...結局は強い子達の寄せ集めで苦労知らずなんでしょ...?

スタイリッシュそう...となんとなく思っていましたが、とんでもない。

プロになるためだけに入団しているので楽しくサッカーなんて考えの者は居らずみんな必死です。

当たり前ですがユース生はサッカーが元々抜きん出てうまいのでそれぞれ自分のサッカーに自信があって、我が強い。

そしてこれまた知らなかったんですが、サッカーにはジュニアユースというものがあるんですね。

アシトの所属するエスペリオンユースもジュニアユースから上がってきた昇格生が多いのでサッカーの基礎やチーム戦略が叩き込まれているんですが、もちろんアシトはそんな事は教わってこなかったのでユースに入ってからも何度も挫折を繰り返します。

こういう今までサッカーをやってきた環境の違いからジュニアユースのいわゆるアカデミー育ちと葦人のようなセレクション合格やスカウトで外から入団してきた者とがまあ噛み合わず、意思の疎通が全くできない。

そんな状況を打破しようと葦人が自分に何が足りてないのかを試合中考えて考えて立て直すまでの流れが5巻~6巻で描かれていて…

このシーン...最近スポーツ漫画からめっきり遠ざかっていた自分にまたあの快感を教えてくれました。

脇キャラではアシト母とお兄ちゃんもすごくいい味出してます。

いや、アオアシに良い味出してないキャラなんていないんですけど...

最初に書いた号泣の原因も男前な母ちゃんです。

 葦人が上京する場面は原作者小林先生の実話が混じっているとか...一見あったかくて優しいザ・母親じゃないところが余計に涙を誘うんですよ...

葦人属するエスペリオンの成長、Wヒロイン気味の恋の行方など続きが気になる要素満載で楽しみです。

 

色々書きましたが一言でいうと、アオアシ超面白い。

毎週読んでてつなぎとか箸休め回がない。全話面白い。

 

マンガ大賞とってほしいな。

追記:マンガ大賞4位おめでとうございます!

 

mominokirin.hatenablog.com