鹿のいほり

漫画の感想など

「ダブルミンツ」 中村明日美子 感想 2人のみつお。同じ名前が持つ魅力。

※bl漫画の感想です。

 

 映画が2017年初夏公開と聞きようやく読みました。

それにしても最近BL映画化多いなあ。

それだけ作品の数自体が増えたし、かつ重厚なストーリーのものがどんどん出てきてるという事だろうか…。

ダブルミンツ (EDGE COMIX)

ダブルミンツ (EDGE COMIX)

 

 

ダブルミンツはかなり前から読みたいリストに入れていて、自分これ絶対好きなやつだな…という謎の確信があった作品でした。

中村明日美子先生といえばBLの教科書と言われることも多い(もしくは勝手にそう思っている)「同級生」シリーズがその界隈ではあまりにも有名。

初めてこの作品を読んだときに「面白い…面白いんだけどこの作家さんの耽美な絵と映画のような話の構成力でもっと重苦しくてぐちゃぐちゃどろどろしたBLも読んでみたい…!」と思い、

どうやらこのダブルミンツがその究極の理想形のようだぞ…と各所のレビューを見てみると

「同級生シリーズの爽やかな雰囲気が好きだったのでこちらは無理だった」

とか

「重い。痛い。登場人物がクズ。」

といったものが多く、逆にかなり興味をそそられました。

 

読んでみた結果、自分の思っていた数倍重く、痛々しく、美しい作品で、まさにこれだ…!という感じでした。

 

 

以下ネタバレ含みます。

 

 あらすじ

メインの2人は同じ名前のミツオ(攻)とみつお(受)。

この攻めの方が、高校時代みつおにカツアゲされたり素っ裸に剥かれて体育倉庫に閉じ込められたりと、度の過ぎたイジメのような事をされていた。

おまけに中2から付き合っていた彼女まで寝取られる。

この時点でもう最高にクズい…のに、そんな最低なことをするみつおがただただ綺麗にみえて仕方がないミツオ。

怒るどころか、さっきまでみつおと寝ていた彼女を今度は自分が抱き、彼女に残るみつおの跡を探し、辿るという…清々しい変態っぷり。

数年ぶりにみつおから「女を殺した」という電話がかかってきて、卒業以来会っていなかった2人はそこからまた関わりを持ち始めます。

試し読みの時点ではこの、女を殺したという罪を背負って生きていく…みたいな話かなと想像してたんですが…この後にもヤクザ絡みの生きるか死ぬかみたいなそれはもうヘビーなことがてんこもりでした。

 

ページに見とれる美しさ

やっぱりあの素敵な絵で男性の身体を熟れた果物のように描いているので、手足の骨ばった感じとか腰の曲線とか、もう見とれるほど綺麗。

受けが足が冷えたからあたためろと言い、攻めが足先を丁寧に舌で舐めるシーンがあるんですが…もはや美術作品で、こういう描写は中村明日美子先生じゃないとここまで魅力的に描けないだろうなあと思います。

読んでいくと2人の形容しがたい関係性が面白い。

ミツオは首尾一貫して熱のこもった目でみつおを見ているけれどみつおの方はどう思っているのか今いちよく分からず、

でも2人が愛し合うシーンとか過去の事も踏まえて考えると、おそらくみつお側も高校時代からミツオから目が離せなくなっていたのでは…と感じました。

 

ダブルミンツ

ダブルミンツ

 

あとは…なんと言っても「断髪式」の映像を見るところ。

みつおは普段ヤクザの犬のような事をしており、そこで過去にヘマをしたケジメつけるために髪を全部刈られて丸坊主にされ、おまけに複数人にマワされるという地獄の一部始終が収録された映像をミツオが見るんですが…

ここ、正直えろすぎて息を飲みました…

狂犬のようなみつおの泣きじゃくる顔、呂律の回らない懇願、完全に見てはいけないものを見ている感覚です…

また坊主になることでみつおの三白眼や造形の美しさがより際立って、最高…。

 

まとめ

作中で「好き」とかそういう甘ったるい台詞は一言もないのに、自分を簡単に犠牲にできるくらい2人が互いのことをどうしようもなく大事に思っているのが伝わってくる。

分かりやすくヤバい奴なみつおと、実は闇を抱えた人間だというのが徐々に明らかになるミツオ。良く似た2人の関係が大きく変わるとかどちらかが相手を救い出すとかではなくて、寄りかかりながらさらに深い所まで一緒に堕ちていくような…そういう話に感じました。

あとがきで中村明日美子先生が「同じ名前の人間」について触れていたけど、作中でも「2人は元々2人で1人の人間で、それを半分に切り離されてバラバラの人間になったんだよ。」

とミツオが話す場面があります。

2人が何となく似ているからというのもあるけど、同じ名前の人とは何か近いものがあるように感じることは良くあるし、そう考えると、2人がまた再会して遠い異国に2人で逃げるのは始めから決まっていたことのような気がしてなりません。

 

中村明日美子先生の作品は同級生しか手を出せていなかった自分にとっては引き出しの多さに度肝を抜かれました。

同級生が表だとしたらダブルミンツは裏だろうか…裏同級生…。

果たしてこれをどう映像化するのか…

ちょっと間違えると「ふーんそれで?」となってしまうモノになる可能性がありますが、とにかく公開が楽しみです。

 

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