鹿のいほり

漫画の感想など

あげくの果てのカノン 3巻 変わっていく人 変わって欲しくない人 変わっても好きな人

3巻も面白さににのめり込んでしまいあっという間に読了。

2巻まではまだ曖昧なところもあった宗介、初穂、そしてかのんの弟ヒロの本音が垣間見え、かのん含め全員が「ゼリー」にずぶずぶと飲み込まれていくような…泥沼展開です。

 

 

以下ネタバレ含みます

あげくの果てのカノン 3 (ビッグコミックス)

あげくの果てのカノン 3 (ビッグコミックス)

 

 ↓1・2巻感想

mominokirin.hatenablog.com

 

話は宗介目線で始まり、かのんの収集癖を知っていたこと、そして相手が人であることを忘れて「好きなら何をしても良い」と思っているかのんのような周りの存在を迷惑だと感じていた事が明かされます。

初穂は試すように宗介をかのんのいるケーキ屋に向かわせ、そこで初めて2人が言い合いになるシーンでかのんの行為が「気持ち悪い」「重い」そして「神さまとか笑わせるなよ」と言う宗介。

かのんはこれに対し幻滅するかと思いきや、先輩は神さまなんかじゃなく自分たちと同じ身勝手な人間でそれでもこんなに尊い存在...やっぱり先輩は最高!という思考になる辺り、重症です。

初穂は宗介が自分の元へ帰ってくると信じていたのに、まさかの逃避行展開になることで今まで未遂で終わっていた浮気とは宗介が相手に求めているものが明らかに違うと分かってしまった。

宗介は自分の言葉に一喜一憂する従順なところが気に入りかのんに近づいたと思っていたのに。

期待させるだけ期待させて傷つけられたと怒って訴えてくるかのんの事を面倒になって捨てるだろうと予想していたのに。

結局自分のところへは戻ってこなかった。

 

変わっていく宗介を受け入れられない初穂は「宗介のため」だと言いゼリーの研究をし、周囲もそれを愛の力などと囃し立てる。

宗介が変わっちゃっても、私が止めるから。私たちはずっと一緒よ...

という妻の言葉を呪いのように感じる宗介は、変わることを誰からも許されない中でかのんだけは変わらず好きでいてくれるんじゃないかと希望を持たせてくれる唯一の救いなんだろう。

 

かのんの弟、ヒロもついに自分の気持ちをかのんに伝え、宗介のことばかりで自分に向けられた好意には気づいていないように見えたかのんは実はヒロの気持ちを知っていた。ここで驚いたのがかのんがヒロとの姉弟という関係を壊さないよう、気まずくならないよう気を遣っていたというより「先輩以外の人に好かれたところでなんの意味もない...」という感情から気づかないふりをしていたこと。

自分が振り向いて欲しい人間以外には微塵も心が揺さぶられないかのんには一方的に人を好きになることの残酷さと恋をする人間の狂気を感じます。

 

 

3巻は宗介の変化に対するかのん、初穂の対比と、ヒロの姉を救い出したい思いが交錯していて面白かった。

先輩との距離が近づけば近づくほど望んでいた世界は遠くなり、家族や大切な人たち幸せを「私が壊した...」と涙するかのんがどんどんあげくの果てに向かっていくような気がして胸が苦しくなります。

 

4巻の予告で「境さん...気持ち悪い...」という誰かの台詞と、「変わりゆく境。その姿はもう...」という煽りがあるんですけどこれは...

境先輩が次の修繕で一体どうなってしまうのか、続きが待ち遠しい。

次巻は冬か。長い...