鹿のいほり

漫画の感想など

野田サトル「ゴールデンカムイ」11巻 感想 子供は親を選べない

ゴールデンカムイ11巻の感想メモ。

 

以下ネタバレだらけです。

 

 

・鯉登少尉

また熱烈な鶴見中尉ファンが出てきた...。

中尉が好きすぎて鯉登ビジョンではバックに花が咲く。

直接喋ると緊張して早口の薩摩弁になってしまうため、月島を介さないと喋れない。

以前二階堂にモルヒネを止めさせる時「ダメッ二階堂ダメッ!」と言っていたが畳をばりばりする鯉登にも「ばりばりやめなさい」と嗜める鶴見中尉が珍獣調教師っぽい。

鯉登も旭川での任務を離れ、囚人狩りに参加することに。

月島にまだお顔に傷がない鶴見中尉のお宝写真もらってるの羨ましい...。

 

・尾形の過去

尾形は元第七師団団長だった父、花沢幸次郎中将の妾の子だったが、父はすぐに本妻との間にも子供を授かり、立場上世間体を気にして尾形と母の元へは一切足を運ばなくなる。

母は父が来るのを期待して、半ばおかしくなりながら好物のあんこう鍋を毎日作り続ける。

幼い尾形が母親があんこう鍋を作らないよう鳥を撃って来るまでは子供らしいが、それでも作るのをやめない母を見てじゃあ殺して葬式に父が来れば喜ぶだろうという思考になるのが、もうこの頃から尾形百之助は健在。

生まれてきたことを祝福されなかった自分を何かが欠けた人間だと感じ、父親の中に僅かでも存在しているかもしれない自分に対する愛を確かめるために本妻の子、勇作を撃ち抜く尾形が切ない...。

この過去回想を語る尾形の血だらけの手や敬語口調が不気味で一体誰に話しているのかと思えば…眼前には血塗ろで拘束された父親がいた。

 

父を自刃に見せかけて殺害した尾形を馬車に乗り待っていたのは...鶴見中尉。

この一件は第七師団の結束を深めるために彼が糸を引いていたらしく、企てを成功させた尾形の膝をさすさすしてよくやったと褒める鶴見がとてもえっちだ...。

ほかの兵士ならばここで即鶴見中尉に懐柔するんだろうが、尾形は表面では黙って応じても心の中では「”たらし”めが...」と吐き捨てる。

おそらく親に大事に育てられたであろう鯉登少尉が鶴見に尻尾を振りまくっているだけに、ここでも祝福された側との差が浮き彫りになる。

たぶん尾形だけは鶴見の根底にある黒い部分を見抜いてるんだろう。

それにしても鶴見中尉は本当にけしからん男だ...。

谷垣ニシパの過去話を聞いたときも「私にはお前が必要だ」とか言っちゃうし、こんな品のある顔の男に膝撫でられながらにっこり褒められたら間違いなく堕ちる。

これだけの人たらしだと部下に鯉登少尉みたいなのが沢山いてそのうち鶴見を巡って殺し合いが始まりそう。

 

マムシと稲妻

遂に江渡貝くぅんが作ったニセ刺青人皮が使われる時がきた。

第七師団が撒いた贋物のエサに飛びついてきたのがマムシのお銀と稲妻強盗こと坂本の殺人鬼夫婦+土方の手下の夏太郎と亀蔵

様々な悪事を働く日々が10年以上続いたというこの凶悪夫婦もまた、実在していたというから末恐ろしい。

刺青人皮の噂を流した賭場で第七師団とのドンパチが始まるが、稲妻の名のとおり速すぎて弾が当たらず、夏太郎が階段に撒いた油のせいでヌルヌルに滑りまくる鯉登、二階堂、月島がテンポよくて面白すぎる。ここアニメで見たいな…無理か。

逃走する稲妻を仕留めるべく機関銃を持ち出してくる鶴見。

撃ちながら興奮しすぎてまた頭から「変な汁」がドピュっと出る。

本格的に危ないこの人…「ふう…いっぱい出た」じゃないよ…

死んだお銀が背負っていた荷物の中身を探ると、中身は2人の赤ん坊だった。

今回尾形の過去編でも言っていたが、ここでも出てくる「子供は親を選べない」というワード。

この悪人夫婦の子供も尾形のように祝福される自分を夢想する日が来るんだろうか...。

尾形が一人で眠るカットがあまりにも寂しそうで子供時代と重なる。

 

・杉元一行ミーツ谷垣一行

谷垣インカラマッチカパシの3人は遂に杉元達を見つけるが、どうやら谷垣が近頃頻発しているカムイを穢す人間だと誤解されて地元のアイヌに追われているらしい。

この真犯人が鈴川が言っていた姉畑支遁という脱獄囚で、当然の如くド変態。

動植物などの自然が好き過ぎて雄鹿とウコチャヌプコロする始末。また一つアイヌ語を覚えたぞ。

アシリパさんがなぜ人間がシカとウコチャヌプコロを?子供もできないのに…しかも雄?と理解が追いつかず杉元に尋ねると杉元がただ一言「ウコチャヌプコロ…」と呟くのがツボ。

今回今更感がすごいけど杉元の金塊探しの理由をアシリパさんが訊く。

杉元の惚れた腫れた話になると突然鶴の舞を踊り出し明らかに動揺しているアシリパさん、それを見てニヤリとする尾形の流れが良い。

巻を追うごとにムチムチ感が増しセクシーマタギの名をほしいままにしている谷垣ニシパだが、シャツがパツパツ過ぎていつボタンが弾け飛ぶのか気が気じゃなかったので杉元が指を入れてパァァンとやってくれたのは謎の快感だった。
おまけに胸毛まで毟ってた。そしてアシリパさんの鼻でそよぐ胸毛。

谷垣の話によると姉畑支遁の次の狙いはヒグマらしく、ウコチャヌプコロしようとする前に姉畑を捕まえねば…

という所までで終わり。

 

今回は尾形の過去がすごく良かったのと同時に鶴見中尉の恐ろしさを再認識できる11巻だった。

尾形の過去編の直前に花沢中将の自刃についてさも残念そうに鯉登に語っていたせいで完全に騙された。

鯉登は階級から境遇まで勇作そっくりなので今後尾形と対比するのも祝福されない尾形の辛さを感じられて更に愛おしくなりそう。

 

次の12巻は肌色多めでサービスシーン盛り沢山になりそうなのでいつ鶴見中尉がヌードで登場しても良いように覚悟しておこう…。